RolandがプロデュースするBOSSブランドから、真空管アンプが持つサウンドとフィーリングをソリッドステート・アンプで再現する独自技術「Tube Logic」をベースにした、新しいギターアンプ「Nextone(ネクストーン)」シリーズの登場です。Tube Logicは、真空管を使わずにツイード期のチューブアンプのサウンドを再現したギターアンプ「Roland Blues Cube」シリーズや、「WAZA Amp」シリーズにも採用されている技術です。今回登場したNextoneシリーズでは、6V6/6L6/EL84/EL34という4種類のパワー管から好みのものを選択し、それぞれの真空管が持つサウンドキャラクターを再現。1台のアンプでさまざまなパワーアンプ・タイプを再現できる、次世代のギターアンプとなっています。
Nextoneシリーズの特徴
ラインナップは
- 40W出力のコンボアンプ「Nextone Artist」
- 80W出力のコンボアンプ「Nextone Stage」
- 80W出力のフラッグシップモデル「Nextone Special」(2020年12月19日リリース)
の3種類。出力はスタンバイ/0.5W/HALF/MAXの4段階切替。サウンドの方向性は「Blues Cube」と、ハイゲインサウンドまで対応できる「BOSS KATANA」シリーズのちょうど中間といったところでしょうか。
真空管アンプはフル活用した場合、1年に1度はパワー管の交換が必要です。「Blues Cube」と同様「Nextone」も真空管を搭載せずに真空管アンプのサウンドを再現するわけですから、メンテナンスフリーで手間いらずというのは大変大きなメリットとなります。「Nextone」では代表的な真空管アンプのサウンドやフィーリングを再現するだけでなく、プレイヤーのスタイルや好みに合わせてカスタマイズできるなど、さらに進化したアンプとなっています。
BOSS Nextone Guitar Amplifier Sound Example
4つのパワーアンプ切替
Nextoneシリーズ最大の特徴と言えるのがパワーアンプの切替です。パワーアンプはサウンドの全体的なフィーリングやキャラクターを決定付ける役割を持ちますが、多くのアンプには1種類のパワー管しか搭載していません。NextoneではPOWER AMP SELECTツマミの操作によって、パワーアンプをスタンダードな4タイプの中から選択し、瞬時に使い分けることができます。
- 6V6:アメリカン・スタイルの小型アンプに搭載される真空管。甘くバイト感があり心地のいいコンプレッションが特徴。
- 6L6:アメリカン・スタイルの大型アンプ、モダン・ハイゲイン・アンプに搭載される真空管。抜けの良さと高いヘッドルーム、ふくよかなミッドレンジが特徴。
- EL84:50年代後半〜60年代前半ブリティッシュ・コンボアンプに採用されたパワー管。小音量ではクリアで煌びやかなクリーントーン、クランク・アップすれば深くマイルドな歪み。
- EL34:ブリティッシュ・スタックアンプのパワー管。暖かみのある骨太なトーン、ロック・ディストーションといえばこのサウンド。
「Blues Cube」ではツイード・アンプを彷彿とさせるブルージーなトーンのみでしたが、Nextoneでは多彩なアンプサウンドが手に入ります。
サウンドを細かくカスタマイズできる専用エディター「Nextone Editor」
Nextone Artistのコントロールパネル。Stageも同様。
コントロールを見ていきましょう。基本的にはCLEAN/LEADの2チャンネル仕様で、VOLUMEが独立、LEADのみGAINの操作が可能で、3バンドEQが共通、MASTERとPRESENCEを装備しています。「Blues Cube」と同様BOOSTスイッチとTONEスイッチを搭載し、歪みの量とトーンを2段階で切替ができます。
そしてクリーン/リード両チャンネルは、ボタンを押すだけでサウンドのバリエーション切替ができるカスタム・モード(チャンネル切替スイッチ長押し)を搭載。Windows/Mac対応の専用エディター「Nextone Editor」を使うことで、バイアス、サグ、EQといったパワーアンプ部の緻密な調整までをも可能にし、より自分好みのサウンドとレスポンスを備えたアンプにチューニングすることができます。
自分で作った好みのサウンドはユーザー・プリセットに99個まで保存することができ、ライブや楽曲毎に設定を管理することができます。
内蔵エフェクト
エフェクトはディレイとリバーブを搭載、リバーブのみだった「Blues Cube」に比べてパワーアップしています。
ディレイはアナログ/テープ/SDE-3000/トレモロが選択可能、TAPボタンを搭載しています。リバーブはホール/プレート/スプリングの3種類から選択可能。それぞれ複数のパラメータが用意され、こだわりの音作りが可能です。
SEND/RETURN端子を搭載し、好みのエフェクターをプリアンプの後段に接続することが可能。シリーズ/パラレルの選択、ループの挿入場所の変更にも対応します。
背面接続端子
Nextone Artistの背面。Stageも同様の構成となっている。
SEND/RETURN端子は前述の通りですが、その他ヘッドフォン/レコーディング・アウト端子、ライン・アウト端子、専用エディターの接続以外にもオーディオインターフェイスとしても動作するUSB端子を装備しています。またBOSSの別売フットコントローラーを繋ぐことで、チャンネル切替/TONEスイッチON/BOOSTスイッチON/エフェクトONなど、様々な設定を足元でコントロールすることが可能です。
外部スピーカー接続端子は8Ω、16Ωのキャビネット2台までの接続に対応。マルチ・チャンネル・レコーディングにも対応し、マイキングがシミュレーションされた信号/ドライ信号を同時出力し、後からNextoneでリアンプするといったことも可能となっています。
BOSS Nextone Guitar Amplifier Introduction by Peter Honoré and Chris Buck
3機種の違い
「Nextone Artist」「Nextone Stage」はいずれもコントロール/背面接続端子/12インチスピーカー(G12-100)1基は共通で、寸法・重量・出力が大きな違いとなっています。
「Nextone Special」ではアンプの心臓部でもあるリアクティブ・パワーアンプをさらに強化、新開発の12インチ・スピーカー WAZA B12Wを搭載し、クラシックなブルー・ベル・トーンと、さらに躍動感のあるサウンドを実現しています。エフェクトはブーストとトレモロを追加、POWER CONTROL機能によって音量を5段階で調節可能、クリーン・チャンネル使用時、アンサンブルに埋もれないサウンドが得られるEXTRA HEAD ROOMスイッチ、任意の音量にブーストが可能なSOLO機能、接続端子も強化されるなど、プロフェッショナルな仕様となっています。
- Nextone Artist – 寸法:572(幅)× 248(奥行)× 475(高さ)mm、重量:16.2kg
- Nextone Stage – 寸法:492(幅)× 248(奥行)× 427(高さ)mm、重量:13.4kg
- Nextone Special – 寸法:620(幅)×246(奥行)×530(高さ)mm、重量:18 kg